書評 イリュージョン
著者:リチャード・バック
翻訳:村上龍
出版:集英社文庫
この本は僕が10代で手にして最も影響を受けた本です。
「かもめのジョナサン」のリチャードバックの作品です。いろんなことで悩んだり考えたりしていた自分に考えるヒントやきっかけをくれました。今だに読み返すことがありますし現在英語の原書も読んでいたりします。すでに本屋さんで新品を入手することができませんので、中古本でしか入手できないのが残念。
ぜひ機会があれば一人でも多くの方に紹介したい本です。
あらすじ
ある救世主の物語ですが、救世主とは何か、を逸話や救世主マニュアルのようなもので解いています。その一つ一つがとても感慨深い。名言集ができるくらいです。この本の書評は、それらの名言をピックアップするのがもっともわかりやすいのではないかと。
ある願望が君の中に生まれる。
その時、君はそれを実現させるパワーが
同時に在ることに気づかねばならぬ。しかし、そのパワーの芽は
きっとまだ柔らかい。
君たち全ての者に告げる。
君たちが遭遇する事件は全て
君たち自らが招き寄せたものである。その事件の発展の方向を決めるのは
もちろん君たちであって神ではない。
二つは比例する
君たちの知力と、
君たちが悲劇の存在を認める度合、毛虫が終末と思う、その形態
救世主は蝶と名付けた。
何よりも素晴らしいのが本の冒頭で出てくる寓話。
昔、大きな川の底に村があった。
村の生き物は皆、川底の小枝や小石につかって生きていた。
ある日、生き物の一人が
「もうこんな生活はいやだ。こんな風にしがみついているのには飽きた。手を離してこの川がどこに流れていくのかしりたい」
と言って手を離す。川にしがみついている者は流れていく彼を見て、
「あいつ飛んでるぞ、奇跡を起こしている。あれはきっと救世主だ!」
と口を揃えて言うようになる。手を離して川を流れていく男は言う。
「僕は救世主なんかじゃない。あんたらと同じさ。思い切って手を離しさえすればいいんだ」
と。
10代の頃にこの話を読んだ時には衝撃が走りました。
海を隔てたところに、自分が言いたかったことを文章にできる人がいる!なんてすごい人なんだ、と。
そして、読み進めていくと冒頭に紹介したような心を揺さぶるような名言がどんどん飛び出すという。
この本を読んで自分の悩みはふっきれました。
自分の頭の中ではいろんなことに対する制限がありました。
「どうせ自分にはできない」
「難しい」・・・。
やってもないのに自分の可能性を決めつけている自分の愚かさに気付かされた本でもありました。
超おすすめですが、新書では入手できないみたいです。
原書ならKindle版がありますので、僕と一緒に英語で原書にチャレンジしましょう。そうしましょう!