書評 GRIT やり抜く力
著者:アンジェラ・ダックワース、訳:神崎郎子
ダイヤモンド社
成功哲学系の本だろうなと思いながら手にとりましたが、ナポレオンヒルと比べると少し手軽に実践できそうな親近感がありました。
要するに、成功するためには物事を最後まで粘り強くやり抜く力が必要だという、タイトル通りの内容なのですが、目標設定の仕方などかなり具体的な方法論にも言及しています。
目標ありき
これはナポレオンヒルの成功哲学とも同じなのですが、達成が少し困難な具体的な目標を持つことが重要だと言っています。
また、がむしゃらに努力すればよいというのではなく、努力の内容も大切だと言っています。
例えば、マラソンを早く走れるようになりたい、というゴールを設定したとします。
・早く=具体的な時間を設定する
・それを実現するために必要なタスクを具体化する
・タスクはがむしゃらにやるのではなく、常に意識して練習をする(練習の質が大切)
・スランプになってもポジティブに考え継続すること
というような内容です。
やり抜く力は環境にも左右される
これはかなり現実的な指摘です。
もっとも難しいのは、一人で「やり抜く」ということです。
例えば作家になりたい若者が、一人で部屋にこもって来る日も来る日も原稿を書き続けるというのは想像しただけでもかなりハードルの高い作業です。
これに対して、高い志をもつ作家仲間の集まりに参加しながら、自分も刺激を受けながら活動をするのは少しハードルが下がる気がします。
つまり、そういった環境に身を置くことも「やり抜く力」をつけるために有効だという指摘です。
例えば、起業をしたい時には一人で部屋で悶々と考えるのではなく、インキュベーション施設などに入居したりそういうセミナーに参加したりして同じ目的をもつ人から刺激をもらうなどということです。
そもそもやり抜く力とは?
成功に必要なのは99%の発汗と1%の閃き、という言葉が示す通り、この本でも成功には努力、つまりやり抜く力こそが必要なのだと強調しています。
このやり抜く力とは一体なんのことでしょうか?それは文字通り、決めたことを最後まで粘り強く続ける力のことを言っています。
それは才能でもなく何か特殊な能力でもありません。ただ、地道に雨の日も風の日も行動すること。失敗しても成果が出なくても継続すること。それこそが本書がもっとも重要と言っている力のことなんです。
そう言われれば心当たりがなくはない。
若い頃は特別な才能もなく、冴えなかった人でも地道な努力を継続できた時に、とてつもない成功を収めている姿を目の当たりにしたことがあります。
まさにこれこそが著書のいう、成功のためのもっとも重要な条件なのでしょう。
成功哲学を読んでもなかなか行動できない人。
目標設定で悩んでいる人などが読むとよいかと思います。
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