読みにくいけど胸に突き刺さった一冊

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わたしを離さないで

題:わたしを離さないで

著者:カズオ・イシグロ

出版:早川書房

2017年のノーベル文学賞を受賞した作品です。一度Kindleでダウンロードして読み始めたのですが、独特のクドイ言い回しが読みづらくすぐに断念しました。その後、AmazonのAudibleで最後まで読みました(聴きました)。

結論から言うと、色々と考えさせられました。

ある近未来のイギリスが舞台。臓器提供をするためだけに作られたクローン人間トミーの幼い頃から臓器を提供して死ぬまでの一生と、側で彼を支え共に生きるクローン人間のキャシーの物語。

クローン人間ばかりの学校で育てられた彼らは、外の世界と自分たちが違うことに違和感を感じながら過ごす。

クローン人間とはいえ、夢もあれば恋愛だってする。成長するにつれて自分たちにはなぜ親がいないのか、なぜ他の世界の人たちのように色んな職業に就くことができないのか、といった疑問を抱くようになる。

そんな中、ある新任先生の告白で、自分たちは将来臓器を提供するためだけに生まれたことを知らされる。やるせない気持ちを持ちつつも、死に向かって生きて行かなくてはいけない葛藤の日々を過ごす。やがて、臓器を提供する日が訪れ、トミーは数回めの臓器提供で死を迎える。側で彼を支え続けたキャシーにも臓器提供の通知が来る。死の直前まで彼らは友達や愛する人たちのために生きようとする。

この小説が描く未来はすぐそこまで来ているんだろうと思います。動物のクローン実験はすでに実施されて成功?しているわけですし。人ごとではなく、将来あるべき医療の姿について真剣に考える時期が来ているんではないでしょうか。

おすすめの一冊です。

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